読書感想文3:「世界で生きるチカラ~国際バカロレアが子どもたちを強くする~」
世界で生きるチカラ---国際バカロレアが子どもたちを強くする
- 作者: 坪谷ニュウエル郁子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2014/04/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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グローバルという言葉に食傷気味に感じながらも、
ミーハー心がついつい揺れ動いてしまいました。
そこで思わずにとってしまったのが本書。
もともとのきっかけとしては、
本書の中の主題である国際バカロレアというものは
なんぞやと知りたかったからです。
結論からいうと、
国際バカロレアのなじみのない方はまずこの本からスタートするとオススメです。
他にもいろいろ国際バカロレアについて本が出ていますが、出版年が古かったり、
読む気をなくしてしまうほど学術すぎたりするものがほとんどなのが現実です。
本書では、国際バカロレアについて書かれているのはもちろんのこと、
著者の坪谷 ニュウエル 郁子さんが自分の2人の娘のために
夫パトリック・ニュウエル・アレンさんと一緒に東京インターナショナルスクールをつくった経緯も入っています。海外教育と日本教育のギャップに苦しみながらもなんとか模索して、自分たちの追い求める理想の教育にまい進する姿は同じ子をもつ親としてはかなりぐっとくるものがありました。
Amazonのレビューを見ますと、
なかには、「この本はただの宣伝本だ」とあったりします。
確かにその一面はあると思います。
ただ、そこら辺の学者みたいな人が専門的な用語をこねくり回して説明されるよりも、実際にインターナショナルスクールを運営される人から説明を受けた方がよっぽど説得力はあります。
ただ、やはりこの本を読めば「世界で生きる力」つくかというと、もちろんそれは「?」です。世界で生きるってきっとそんな生易しいものではありませんよね。
でもこういう類の本を読んでしまうと気持ちがなんだか大きくなってしまって、
とりあえずわが子をどっかの海外にぽいってしたくなってしまいました。
まさしくかのことわざ通り「かわいい子には旅させよ」ですね。
ところでさきほどから何度も登場してくる
噛みそうになる「国際バカロレア」とはなんでしょうか?
ざっくり咀嚼しますと
「国際バカロレア」=世界中の学校にスムーズにアクセスするためのパスポート的存在です。
これだとあまりにも乱暴ですので、もう少し詳しく見ていきますと、
「国際バカロレア」は、「世界共通の大学入試資格とそれにつながる小・中・高校生の教育プログラム」のことです。
国際バカロレアの総本山はスイスのジュネーブで1968年設立されました。
インターナショナル・バカロレア機構(IBO)によって提供される国際的な教育プログラムです。
IBOに許可・登録された学校で、その課程を履修して認定証書(ディプロマ)を取得すれば、世界100ヶ国以上、20,000校以上の大学で入学資格や受験資格として認められます。
←認定証をゲットすれば世界100ヶ国以上の大学にアクセス可能とは、なかなかオイシイですよね。
プログラム内容の話ですが、教育プログラムは年齢に応じて3つに分かれています。
(1) PYP (Primary Years Programme:初等教育プログラム) 3歳~12歳
(2) MYP (Middle Years Programme:中等教育プログラム) 11歳~16歳
(3) DP (Diploma Programme:ディプロマ資格プログラム) 16歳~19歳
ちなみに
国際バカロレアの理念は全人教育。以下の10つの学習者像を目指しています。
Inquirers:探究する人
Knowledgeable:知識のある人
Thinkers:考える人
Communicators:コミュニケーションができる人
Principled:信念のある人
Open-minded:心を開く人
Caring:思いやりのある人
Risk-takers:挑戦する人
Balanced:バランスのとれた人
Reflective:振り返りができる人
←なかなか高尚な理念です。
現在日本では、
国際バカロレアのプログラムは、全て導入することも、どれか1つのみ導入することも可能となっており、国際バカロレアの認定を受けている学校は、平成27年6月10日現在、世界140以上の国・地域において4,211校ある。日本における認定校は34校である。
←気になる方は文科省のHPへどうそ。
←日本国内での取得校はかなり少ないです。一つの要因としては指導できる先生の絶対数が確保できていないのが現状だと思います。
実際問題、学校側からするとそこまでいろいろと大変な手続きや準備をしてまで国際バカロレアを取得するうまみは本当にあるのかといわれると「?」って感じですよね。そもそも、世界各国で教育制度の異なる学校に認定書一つ取れればアクセスできてしまうというの考え自体がムシが良すぎるのかもしれません。